≪3月11日≫ 東日本大震災に際して
東日本大地震から7年が経ちました。
東北地方だけでなく、私たちの住む千葉県でも太平洋沖を中心に、多くの被害がもたらされました。
被災された皆さまに、まずは、心よりお見舞い申し上げます。
下記、7年前の当時、弊社代表の森川が書いたコラムです。改めてご紹介させていただきます。
**********************************************************************
今回は緊急のコラムとして、「被災被害のもたらす影響」として情報提供させていただきたいと思います。
今は、皆がそれぞれできることを考え、行動していくしかないという気持ちです。…
私たちは、震災に限らず、犯罪や大きな事故に巻き込まれたときに、身体面・精神面両面で非常に大きな影響を受けることがあります。通常の生活の中では経験することもないような出来事、直接自分にふりかかってくるような出来事もあれば、
大切な人や物を一瞬にしてなくしてしまうこともあります。
物理的な人や物だけではありません。経済的な基盤や、社会的な信用、また避難所などでは
プライバシーを失うことにもなりかねません。
加えて、これらの出来事を何ら心の準備がない状態で、直面せざるをえないのです。
通常起こり得ないことについて、心の準備が出来ている人などいないはずです。
「PTSD」という言葉はみなさんご存じだと思います。日本語で言うと「心的外傷後ストレス障害」という病気です。
怪我などの身体的な傷ではなく、まさに「心に受ける傷」によって引き起こされる様々な問題です。
代表的な症状としては、神経が過敏となりいつもびくびくと過ごしてしまい、小さな刺激でも大きくとらえ
夜も眠れなくなったり、また、自分と外の世界とのつながりを感じられなくなったり、
外の刺激からの反応が鈍くなったりすることがあります。ストレスを体験してからすぐに発症し、半年ほど持続するものや、
半年以上たってから症状が現れる場合もあります。
通常、私たちはいろいろな記憶や経験を、自分の中に整理して取り込んでいきます。
しかし、否応なしに直面させられた耐えがたい記憶は、私たち自身の中に取り込んでいくのが難しいとされています。
「異物」として迎えられたこれらの記憶は長く、時には激しく私たち自身を揺さぶるのだと思います。
さらにこの問題を複雑にしているのが、2次的に起こりうる影響です。
うつ病で知られうような、抑うつ感や億劫感、また、一次的に記憶があいまいになったり、
感情がマヒしてしまうような解離現象、さらには薬物やアルコールの依存の問題などがそれです。
現実の場面では、これらの症状が問題をより複雑にしていることも考えられます。
また、実際に大切な家族を亡くした方は、大きな「喪失体験」を負うことになります。
一般的にこのような状況では、私たちはまず、
①パニックとなり、無感覚・感情まひになる段階
②怒りがこみ上げ、現実を否認し、奇跡を願う段階
③失ったものや人を受け入れ、または断念する段階
④回復の段階
が訪れるとされています。各段階の期間は短い人もあれば、年単位で続く人もいます。
また、短すぎる場合には、後になって上述したような身体症状が顕在化する場合もあります。
つまり、私たちはだれでもこのような段階をたどるわけであり、これらの感情が湧き上がってくることはなんら不思議でない、
むしろ正常だということだと思います。
「人それぞれ、この段階をたどっていく」と理解したときに、周囲でサポートする私たちの立ち位置はおのずと見えてくるのだと思います。
支援の対象が、大人であれば、言葉などの表現で語れる範囲でその状況を聴き、共有することも意味があるでしょうし
対象が子どもの場合には、無理に恐怖体験を再現させることよりも、こころとからだのアンバランスからくるような、
衝動性や、過覚醒を、遊びやスポーツの中でバランスできるように支援することも有効とされています。
昨日のテレビ報道で、「避難所の中で、小さな子どもの笑顔と笑い声が勇気と希望を与えてくれる」と言った旨の被災者の方の
コメントをききました。また「前を向かないと、現実見てたら涙しか出ないよ」という主旨のコメントもありました。
これほどの状況の中でも、生きていこうという力や回復力が働くことの、尊さをあらためて感じています。