【ヒューマン・タッチ レター vol.11】パワハラ加害者への対応
パワハラ加害者への対応 ~臨床心理士が教える具体的事例~
みなさん、こんにちは。ヒューマン・タッチ森川です。
前回はパワハラの訴えがあったときに、人事労務担当者として、どのように聴き取りを行うか、
注意点は何か、についてお話しました。
今回は、パワハラの「加害者」に対する取り組みを話題にしたいと思います。
訴えに対する聴き取りが終わり、何かしらの処分が「加害者」に加わったとします。
けれども、「はい、わかりました。今後気を付けます。」と受け入れる「加害者」ばかりでないのは、
現場の皆様であれば、ご承知の通りです。
・「私のどういった言動が、ハラスメントに該当するのか」
・「あることないこと私の誹謗中傷を社内に広めて、相手側の服務規定違反ではないか」
・「相談窓口の制度を利用した、私個人へのいじめではないか」などなど
このような思いを抱えた管理職を、何も対応せずに継続して勤務させることへの課題意識が、
人事労務担当者には出てきて当然ですよね。
この場面で、会社から「加害者」への継続した心理面談の希望が出ることがあります。
例えば、ある人事担当者からのご依頼ですが…
【加害者がこの件を通して、どのようにやり直し、管理監督者としての責務を果たすために、
どのように部下に接していけばよいのか、を指導していただきたく思います。
被害者との関係修復の方法、怒りの感情のコントロール方法、部下が進んで仕事をしない場合の対処方法などを
心理面等からご支援いただきたいと思います。】
私からすれば、この種の面談は、最も気の重い仕事の一つです。
DV加害者向けなど、各種更生プログラムなどが充実はしてきています。
ただし、個別面談だけで当人の振り返りをして課題を見つけ、やわらかく考えていく、という行為は
やはり労力がかかることです。
特に「加害者」の方には、特有の思考や認知の偏りがある場合もあります。
・「誰も注意しないから、会社のために、自分が悪者になってでも、強く言っているのだ。」
・「会社のためにしている行為で、なぜ私が罰せられるのか。」
このようなケースでは、個人の性格や傾向(特徴)を見ることが出来る心理検査を行うようにしています。
代表的なものはエゴグラムですね。
会社の求める期待を、短期間で叶えるのは至難の業ですが、中には、エゴグラムによって自分の特性に気づき、
「部下との対応に困っていた自分」を見つけ、「そのためにできる工夫として何があるか」を話し合える方もいるのです。
『日本の人事部』(人事キーパーソン、インタビューコラム)に、毎週連載しております。
是非、そちらのサイトも御覧下さい。