【コラム#14】自律訓練法
自立訓練法 ~臨床心理士が教える具体的事例~
みなさん、こんにちは。ヒューマン・タッチ森川です。
今回はリラクセーションの一つ、「自律訓練法」について話題にさせていただきます。
「自律訓練法」とは、ドイツのシュルツによって体系づけされた自己催眠の一種です。
自律神経系には、戦う神経系の「交感神経」と、休む神経系の「副交感神経」があります。
緊張が高く、常に臨戦体制の方は「交感神経」が優位になりがちです。
そこで、「副交感神経」を優位にして、バランスをとってあげることで、リラクセーションを目指します。
「自律訓練法」では、疲労回復や自己効力感の向上、ストレス緩和などの効果がありますが、
今まで、病院やカウンセリングルームで行ってきた中では、うつ病の患者さん、特に眠りに課題がある方より、
「眠りに入りやすくなった」との感想を多く聞きます。
眠りの改善をきっかけに、始めるのもよいかもしれないですね。
実際には、教示が独特であり、専門家の指導の下で行っていただくことをお勧めします。
基本公式から、第6公式まで、呪文のような教示があります。
第2公式までで効果があるともされています。書籍や動画もたくさん出ていますので、
興味関心がある方は、まず出来るところから(第2公式まで)始めていただくのもよいと思います。
■実施の前に
・重篤な心臓病の方は、実施を避けてください
・体を締めるもの、ネクタイやベルト、眼鏡などは緩めてください
・光の刺激も少ないほうがベターです
・衣服はゆったりとしたものをご準備ください
・座って行う場合には、少し足を前に出して、肩幅ほど広げて、
両手を軽く膝の上に置きます。不快でなければ目を閉じてください。
■消去動作を覚える
自己催眠の一種ですので、訓練が終われば、元の世界に戻るために、簡単な動作を覚えてください。
両こぶしを強めに握って、胸の前まで引き寄せて、力強く前に押し出しながらこぶしを開いて、パー、の形にします。
これを3回ほど繰り返してください。
■公式
・背景公式 気持ちがとても落ち着いている。
・第1公式‐手足が重い。
「右腕が重たい」「左腕が重たい」「右脚が重たい」「左脚が重たい」
「両腕が重たい」「両脚が重たい」「両手両脚が重たい」
・第2公式‐手足が温かい。
「右腕が温かい」「左腕が温かい」「右脚が温かい」「左脚が温かい」
「両腕が温かい」「両脚が温かい」「両手両脚が温かい」
■進め方
・背景公式は、毎回2回ずつ唱えます。
その後に、第1公式から順に唱え、意識を体に向け、重たさや温かさを感じてみてください。
まずは利き手から始めて、重たさを感じられたら、次の腕、脚に1つずつ進んでください。
・1回あたり5分程度におさめて、毎日複数回練習してください。訓練の最後には消去動作も忘れずに。
・重さは、おもりがついているのをイメージしたり、
温かさは、周りにヒーターが置いてあるのをイメージしたりするのもよいかもしれません。
繰り返しになりますが、しっかりと体験したい方は、学界に所属している医師や臨床心理士の指導を受けられることをお勧めします。
医療機関でも実施してくれるところもありますので、主治医がいる方は確認してみてください。
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